ICTで新たなる技術を

建設工事の測量・設計・施工・出来形管理・データ納品という生産工程において、ICT(情報通信技術)を使っています。各工程から得られる電子情報を活用して高効率・高精度の施工を行い、そして施工工程で得られた電子情報を他の工程に使うことで、一人一人の生産性の向上・品質や安全性の確保を図っています。

ICT建機【マシンコントロールブルドーザ・
GUSSタイヤローラによる敷均し、締固め状況】
ICT建機【マシンコントロールバックホウによる法面整形状況】

ICT施工の建設機械は作業機の位置情報と3次元設計データを照合比較し、作業機のオペレータ操作支援したり自動制御等を行っています。
ICTにより従来必要とされていた丁張りや施工作業中の測量とそれにともなう修正施工作業が大幅削減されるため、費用と工期の削減ができます。
工期期間の短縮による生産性の向上と建設機械の稼働率向上は、CO2排出量の削減また建設機械のそばで行う測量作業と丁張り作業が大幅に削減できるため、従来に比べ安全性に繋がっています。

井上組ではICT施工により、安全性向上・品質の確保・施工効率向上・技術評価値の向上・環境負荷の軽減・施工精度向上を図り、近年における建設業の課題である就業者の減少、熟練工の作業品質の確保、就業者の休日の確保など問題解決に向けて取り組んでいます。

レザースキャナーによる計測状況
MCバックホウ機内のモニターによる確認
三次元設計データの作成状況
UAV【無人航空機】

3次元配筋検査ツール【Modely】

井上組では、2023年から3次元配筋検査ツール【Modely】の活用を始めました。検査対象の点群データをスキャンし、配筋モデルを自動作成することで、配筋検査の効率化や省力化を目的としたデジタル検査ツールです。最初の導入は「令和4-5年度 沼田堤防護岸(その3)外工事」で、沼田無堤地区の吉野川増水による浸水被害の低減を目的とした樋門新設と築堤の国土強靭化対策工事でした。本工事の樋門は比較的コンパクトなサイズであったため、近距離からの測定やダブル配筋までの測定が検査ツールとして必須条件でした。

【Modely】では、レーザー光を照射して距離や形を計測する「LiDAR」搭載のiPadでスキャンし、点群データを3次元モデルに変換することで、配筋検査における検査項目の実測値を自動で帳票化することが可能です。また配筋検査の工程の大幅削減や施工性の向上等を実現すると共に、3次元データの強みを活かしてダブル配筋や環状フープ筋のモデル化、かぶり厚の計測も行えます。そのため本工事でもスムーズに作業を取り組むことができました。今後も井上組では、従来の建設業務プロセスを改善し続け、作業の効率化・安全性を高めていきます。

Modelyを使って配筋検査を実施
出来形を3次元計測し、モデルとの差分解析を行い面管理
足場の3次元モデルと3次元起工測量データを重ね合せ、安全性を検証
完成した樋門を3次元計測し、断面を切り出来形を計測
ICT土工の出来形管理で作成したヒートマップを3次元モデルのテクスチャーとして貼り付け、AR技術により現地での見える化を実施
鉄筋の3次元モデルをAR技術を活用して現地に投影し、配置確認

「沼田堤防護岸(その3)外工事」現場監督:西久保健

初めは使用鉄筋径がD13・D16と細かったので撮影のコツを掴むのに苦労しましたが、慣れてくると点群取得のための撮影は1人5分程度で行うことができました。その後は室内作業が可能なため、現場支援者に任せることで、作業の省力化から現場の安全性を高めることができました。またBIMCIMの観点からも完成形状を残しておけることは、メリットのあることだと考えられます。

「沼田堤防護岸(その3)外工事」ICT業務担当:逢坂瑠実

新入社員や現場を熟知していない人でも、iPad1つで配筋確認を行うことができる【Modely】を活用し、現場に貢献できるところが導入して良かったポイントだと思います。実際に入社1年目の女性社員に【Modely】を活用させて、点群データを使った鉄筋モデルを作成してもらっています。作業の効率化だけでなく、若手社員の現場理解や業務知識を深める育成にも繋がっています。

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